スパークリング/フランス(シャンパーニュRM)
Champagne Brut Tradition NV -
品種: ピノノワール 100% (稀にシャルドネを10%程度含む)
ステンレスタンクを用いて発酵させ、最低でも15ヶ月の熟成を経てリリースされる。
シャンパーニュらしい繊細な泡立ちと爽快な飲み口、豊かな果実味に満ちており、オレンジや
レモン、スミレのような花のフレーバーが心地よく広がる。
Marie Demets
マリー ドゥメはシャンパーニュの南端、シャブリにもほど近いギイ シュール セーヌという
町にあります。現在の当主アラン ドゥメ氏がワイン造りを始めたのが1976年、マリー ドゥメ
としてのブランドを立ち上げたのが1986年です。
現在、およそ10haの畑を所有しており、ピノノワールを80%、シャルドネを20%植樹しています。ブドウ樹の樹齢は2年から34年で果実味の豊かな、コクのあるシャンパーニュを生み出していま
す。現在でもこの地域では、元詰めを行わずにブドウを大手シャンパーニュメーカーに販売す
る栽培者が多いと言いますが、そんな中でも早くから自社ブランドを築き、元詰め(一部買い
ブドウから)でシャンパーニュを生産するマリー ドゥメは奇特な生産者であると言えます。
マリー ドゥメ所有の10haにも及ぶ畑の栽培はしごく伝統的なもので、必要な農薬を適宜使用
しつつ成熟したブドウを栽培しています。
「病害のリスクを考えた場合、農薬を使用することを否定することは出来ない。」と
ドゥメ氏は言います。
冷涼な土地であるシャンパーニュの気候もその一 因と言えるでしょう。
その一方で、「必要のないものは使いたくない。」とも言い、除草剤を使用しないために小麦の
種を畝と畝の間に撒いています。10月頃 に撒かれた小麦は、成長と共に他の雑草の生育を妨げ、
結果的に除草を必要としなくなります。麦自体は翌年の6月には枯れてしまい、ブドウの樹がもっ
とも養分を必要とする夏には、その成長の邪魔とならないと言います。
このように出来る限り農薬を減らすべく工夫を凝らしている姿と、「最低限の農薬は必要だ」と
言いきる姿のギャップに一昔前の頑固親父の照れくさい後姿を感じます。それもそのはず、ドゥ
メ氏には娘がいるのですが、その娘がオーストラリア人の夫と一緒にフォジェールでワイン造り
をしており、しかも、若い感性で様々なワイン造りを勉強している彼らは昨今の「自然派ワイ
ン」のアプローチにも注目しているのです。どうやらそれが面白くないアラン氏は、自然派を
否定しながらも、工業的な手法に頼らないワイン造りを着実に続けているように思えます。
一方、醸造に関しては可能な限りのオートメーション化を行い、ルミアージュ作業などを機械化
することによって人件費を押さえ、コストパフォーマンスに優れた上質のシャンパーニュを生産
することに成功しています。実際、カジュアルに楽しめる彼のシャンパーニュを愛飲している
著名人も多く、ドゥメ氏曰く、イギリスのウィンザー卿やビートルズのポール マッカートニー氏
も彼の顧客であると言います。